二 すこしばかり出來かかつてゐた本木昌造のイメーヂは、私の頭の中で無殘にくづれていつた。最初のうちは「遠西奇器述」の寫本など見る氣がしなかつた。私の頭の中には、白髮の總髮で、痩せた細おもての燃えるやうな理想と犧牲心とで肩をそびやかした昌造の…
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